4.3 選択肢の絞り込み

用語定義

  • 劣等戦略
    ある選択肢と比べて、相手の意思決定に拘わらず同等以下の利得しか得られない選択肢のことである。
  • シナジー
    サポートをする・サポートを受けることによって生まれるポケモン同士の相乗効果のことである。

4.3.1 理論的な方法

膨大な選択肢の中から選択肢を絞りたい場合は、選ぶ必要が無い・選ばれないと思われる選択肢を考慮しないようにします。
理論的には、劣等戦略となる選択肢は選ぶ必要が無い・選ばれることはないため、考慮する必要はありません。

〜実例59〜
「2.5 運要素と読み」の実例45を例として挙げる。

実例45では、自分の場にラティオス、相手の場にパルシェンがいる状態で、
下記のような読みが行われている。

利得表(技は必ず命中、追加効果や急所は無いと仮定)
|―――――――――|――――――――|―――――――――|―――――――|
| 自分 \ 相手 |からをやぶる  |ハッサムに交代  |つららばり  |
|―――――――――|――――――――|―――――――――|―――――――|
| りゅうせいぐん |自分の勝ち   |相手の勝ち    |自分の勝ち  |
|―――――――――|――――――――|―――――――――|―――――――|
| めざめるパワー炎|相手の勝ち   |自分の勝ち    |自分の勝ち  |
|―――――――――|――――――――|―――――――――|―――――――|
| ガブリアスに交代|相手の勝ち   |どちらが勝つか不明|相手の勝ち  |
|―――――――――|――――――――|―――――――――|―――――――|

「ガブリアスに交代」の選択肢は「めざめるパワー炎」の選択肢に劣っている。
(相手がどの選択肢を選んだとしても「めざめるパワー炎」以下の利得である)
また、「つららばり」の選択肢は「からをやぶる」の選択肢に劣っている。
よって、「ガブリアスに交代」と「つららばり」は劣等戦略であり、
考慮する必要が無い。

4.3.2 実践的な方法

実戦で選択肢を絞る場合、劣等戦略を取り除くだけでは十分に選択肢の数が少なくならないことがあります。
(特に、パーティ選択読み等、選択肢の数が多い読みの場合)
また、一見して劣等戦略かどうかが判断しにくい選択肢も存在します。

そこで、実戦では下記のような方法も用いるべきでしょう。

(1)得られる利得が低くなりやすい選択肢を考慮しない

劣等戦略となりやすい選択肢には、ある特徴が存在します。
その特徴を捉えれば、劣等戦略となる選択肢を見分けるのが容易になったり、劣等戦略に近い選択肢を排除したりすることができます。

  • 真価を発揮できる条件下に置かれていない選択肢
    選択肢の中には、ある特定の条件下でしか有効に活用できない選択肢が存在します。
    「特定の条件下」ではない場合、その選択肢は劣等戦略である可能性が高いので、排除できます。
〜実例60〜
「エアームド」は、強力な物理技を打つポケモンを相手にする時に
真価を発揮する種族である。
そのため、自分のポケモンに強力な物理技を打つポケモンが存在しない場合、
ポケモン選択の場面にて「エアームドを含む組み合わせを選出する」
という相手の選択肢は、劣等戦略である可能性が高いと言うことができる。

〜実例61〜 
スターミーの覚える技「パワージェム」は、 
岩タイプの攻撃技で、炎、氷、飛行、虫タイプの弱点を突くことができる。 
特にタイプ一致の技でダメージを全く与えられないヌケニンに対して有効である。 

しかし、ヌケニンを攻撃するだけならゴーストタイプで威力が10高い
「シャドーボール」を使えばよく、 
そもそもアイテム『きあいのタスキ』の採用率が高いヌケニンに対して
攻撃したところで、「シザークロス」を使われて
逆に倒されてしまう可能性が高い。

そのため、ヌケニンと対峙した場合は「あやしいひかり」を使うか、
素直に交代した方がよい。 
その他、氷や飛行タイプに対しては水技やエスパー技で
問題なく攻撃できる相手が多く、炎に至っては水技で抜群を取ることができる。 

従って、スターミーが「パワージェムを使う」という選択肢は、
劣等戦略である可能性が高いと言うことができる。 
  • 高いシナジーを得ることができない選択肢
    高いシナジーを得ることができないパーティや、高いシナジーを得ることができないポケモン同士を組み合わせた選出は劣等戦略である可能性が高く、排除する対象となり得ます。
    なぜなら、強いポケモンであっても、サポートする・されるの関係がなければ機能させることは難しいからです。
    ただし、著しく強いポケモンが存在するルール(※)であったり、こちらのパーティがあるポケモンに対して致命的な弱点を抱えていたりする場合は、
    サポート無しでも相手のポケモンが機能することが考えられるので例外です。
     ※著しく強いポケモンの例として、
      第一世代(GB赤緑時代)のウルトラカップのミュウツーが挙げられる
〜実例62〜
特性「すなかき」のドリュウズは高い攻撃種族値を持ち、
更に「つるぎのまい」を覚える為、
一度「つるぎのまい」を使いアイテムの補助を加えれば
大半のポケモンを一撃で倒すことができる。
また特性「すなかき」は、天候が「すなあらし」であれば
非常に高い素早さを得ることができる。

しかし元の素早さは中途半端であり、
タイプこそ優秀だが耐久自体はそこまで高くない為、
天候が「すなあらし」でかつ「つるぎのまい」を使わないと、
相手を倒す前に相手に倒されてしまうことが多い。

そのため、特性「すなおこし」や技「すなあらし」を持つポケモンと一緒に出す、
自分が「つるぎのまい」を使っても相手に倒されなくする、
等のサポートがなければ機能しにくい。

更に言えば、そのようなサポートを行うポケモンと組み合わされないで
ドリュウズが選出される、ということは考えにくい。
〜実例63〜
「あくび」「ステルスロック」を持った特性「すなおこし」のカバルドンは、
特性「すなおこし」で自動的に天候が「すなあらし」 になり、
かつ「ステルスロック」を使ってから「あくび」を使い続けることによって
相手の交代を強制しながら「ステルスロック」でダメージを与えていく。

そのため、天候「すなあらし」の恩恵を受け、相手が交代してくれないと
能力を上昇させる技を安全に使えない耐久の低いポケモン、
例えば「すなかき」ドリュウズ等をサポートするのに向いている。

しかし、攻撃力や素早さが他の地面タイプと比べて特別優れているわけでもなく、
かつ意図せず天候を「すなあらし」にしてしまうカバルドンが
地面タイプとしての役割を担うことは難しい為、
上記のようなサポートを有効に利用でき、
かつ「すなあらし」の恩恵を受けるポケモンと組み合わせない場合は、
あまり機能しない。

その為、カバルドンが、カバルドン自身のサポートを有効利用できるポケモンと
組み合わせないで選出されることは考えにくい。

(2)心理的に選ばれにくいと判断できる選択肢を考慮しない

相手の心理面を考慮に入れた場合、劣等戦略でなかったとしても選ばれにくい選択肢が存在します。
そのような選択肢も、考慮しなくて良いでしょう。
相手の心理面の考慮に関しては、「4.4 選択肢の選択確率の推測方法」で解説します。

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Last-modified: 2012-04-01 (日) 05:00:32 (4422d)