4.5 選択のランダム化

4.5.1 ランダムで選択肢を選択するという発想

主観的な利得表上に抽出した選択肢、及び主観的な利得表上の利得量について双方のプレイヤー間で差異が無いと仮定した場合、
何らかの方法で乱数を発生させ(コンピューターで乱数を発生させる方法の他、時計の秒針を見る等の方法も有効)、
その乱数を参照してランダムで選択肢を選択することで、心理的な影響を受けずに選択肢を選ぶことができるようになります。
心理的な影響を受けずに選択肢を選ぶことができれば、こちらの心理的な影響を推測材料から読み取られるのを防げるため、相手に読まれて利得を失ってしまうことを避けられます。

ただし、ランダムで選択肢を選ぶ際には、自分の各選択肢の選択確率を「4.5.2 利得量を一定に保つ選択確率」に述べる方法で求める必要があります。
単純に全ての選択肢を等確率でランダムに選択し、かつ相手がそのことに気が付いていた場合、利得を失ってしまいます。

ここで、全ての選択肢を等確率でランダムに選択する場合について、例を挙げて説明します。

         利得表

自分\相手選択肢a選択肢b
選択肢A0.20.6
選択肢B0.50.4

                   ※利得の欄には、「自分の利得」が入る

全ての選択肢を等確率でランダムに選択する場合、選択肢Aも選択肢Bも0.5の確率で選択します。
この場合について、相手が選択肢aを1.0の確率で選んだ場合の加重平均利得と、相手が選択肢bを1.0の確率で選んだ場合の加重平均利得を計算します。

 -相手が選択肢aを1.0の確率で選んだ場合
  {(0.2 * 0.5) + (0.6 * 0.0)} + {(0.5 * 0.5) + (0.4 * 0.0)} = 0.35
 -相手が選択肢bを1.0の確率で選んだ場合
  {(0.2 * 0.0) + (0.6 * 0.5)} + {(0.5 * 0.0) + (0.4 * 0.5)} = 0.50
 
こちらが全ての選択肢を等確率でランダムに選択していることに相手が気が付いていた場合、相手は選択肢aを選んできます。
その結果、こちらは0.35の利得しか得られなくなり、利得を失ってしまいます。
また、この利得は、自分の各選択肢の選択確率を「4.5.2 利得量を一定に保つ選択確率」に述べる方法で求めた場合(0.44)と比べて低くなります。
そのため、全ての選択肢を等確率でランダムに選択する方法は不適切です。

4.5.2 利得量を一定に保つ選択確率

「4.5.1 ランダムで選択肢を選択するという発想」で挙げた例を用いて、利得量を一定に保つ選択確率の選択方法を解説します。
ここでは、相手の各選択肢の選択確率とこちらの利得量の関係をグラフに表し、そのグラフから「利得量を一定に保つ選択確率」を計算する、という方法を紹介します。

縦軸に自分の利得量、横軸に相手が選択肢aを選ぶ確率をとると、図9のグラフを描くことができます。
(線分A-A'は選択肢Aを選んだ場合、線分B-B'は選択肢Bを選んだ場合を表す)

  • 図9:利得量の傾き

    ここで、選択肢A・選択肢Bの選択比率を適切に設定し、線分A-A'と線分B-B'を合成することで、傾きが0となる線分C-C'を導きます。
    傾きが0となるような選択肢A・選択肢Bの選択比率は、以下のようにして求まります。

     〜択肢aの選択確率 * 線分a-a'の傾き + 選択肢bの選択確率 * 線分b-b'の傾き = 0
     ∩択肢aの選択確率 + 選択肢bの選択確率 = 1
     A択肢aの選択確率 ≧ 0
     ち択肢bの選択確率 ≧ 0
     
      銑い力⇔方程式を解くと、
     
     選択肢aの選択確率 = 0.2, 選択肢bの選択確率 = 0.8
     となる。

    以上より、「選択肢Aの選択確率 = 0.2, 選択肢Bの選択確率 = 0.8」の場合に、傾きが0の線分C-C'となります。
    つまり、「選択肢Aの選択確率 = 0.2, 選択肢Bの選択確率 = 0.8」とすることで、
    相手が選ぶ選択肢に関わらず、自分の利得量を一定に保つことができるようになります。

    以上の計算で求められた各選択の選択確率に基づいてランダムに選択肢を選択すると、、
    相手が選択肢aを1.0の確率で選んだ場合の加重平均利得と、相手が選択肢bを1.0の確率で選んだ場合の加重平均利得は下記の通りになります。

     -相手が選択肢aを1.0の確率で選んだ場合
      {(0.2 * 0.2) + (0.6 * 0.0)} + {(0.5 * 0.8) + (0.4 * 0.0)} = 0.44
     -相手が選択肢bを1.0の確率で選んだ場合
      {(0.2 * 0.0) + (0.6 * 0.2)} + {(0.5 * 0.0) + (0.4 * 0.8)} = 0.44
     
    このように、相手の各選択肢の選択確率に影響されることなく、常に0.44の利得を得ることができます。
    つまり、相手がどのように読んできたとしても常に利得量を均一に保つことができるため、相手に読まれて利得を失ってしまうことを完全に避けることができます。

    実戦で以上のような計算を行うことは難しいですが、
    「傾きが小さい選択肢(ローリスクローリターンな選択肢)を高確率で選び、
    傾きが大きい選択肢(ハイリスクハイリターンな選択肢)をたまに選ぶ」
    というイメージを持って選択確率を概算すれば問題はないでしょう。
添付ファイル: file図9:利得量の傾き.png 75件 [詳細]
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Last-modified: 2012-04-01 (日) 05:07:32 (4430d)