2.2 交代

用語定義

  • 対策
    相手のポケモンaに手持ちの全てのポケモンを倒される前に、相手のポケモンaを倒すこと
  • 役割
    自分のポケモンAに対して与える、「相手のポケモンaを対策するために、ポケモンaを倒す」という役目
  • サイクル
    相手がどのポケモンを場に出してきても、場に出ている相手のポケモンに対して役割を持っているポケモンに交代できる状況で、かつ相手から見ても同じ状況である場合を表す用語
  • 当て逃げ
    相手のポケモンが交代で出てきた際に何らかの技を打ち、次のターンに自分のポケモンを交代させること


2.2.1 多対多のモデル

「多対多のモデル」は、多対多で戦うことを想定した実践的なモデルです。
ポケモンの勝利条件は「自分が選出したポケモンが全滅するよりも先に、相手が選出したポケモンを全滅させる」であるのですが、このモデルでは「交代」を考慮しなければならないため、単純な1対1のバトルの強さだけではなく、交代を駆使して相手のポケモンに倒されないようにすることや、交代を駆使する相手のポケモンを倒すことを考える必要も出てきます。

「交代」という要素は重要で、交代をするか否かによって勝敗が分かれることは日常茶飯事的に起こります。

〜実例17〜

【自分のポケモン(場)】
ウルガモス 持ち物:なし 特性:ほのおのからだ 性格:おくびょう    
 技:だいもんじ
 努力値 HP:4 特攻:252 素早さ:252
 実数値 HP:161 攻撃:72 防御:85 特攻:187 特防:125 素早さ:167         

【自分のポケモン(控)】
ゴルーグ 持ち物:なし 特性:てつのこぶし 性格:いじっぱり    
 技:じしん
 努力値 HP:252 攻撃:252 素早さ:4
 実数値 HP:196 攻撃:193 防御:100 特攻:67 特防:100 素早さ:76         

【相手のポケモン(場)】
テラキオン 持ち物:なし 特性:せいぎのこころ 性格:ようき    
 技:ストーンエッジ
 努力値 HP:4 攻撃:252 素早さ:252
 実数値 HP:167 攻撃:181 防御:110 特攻:82 特防:110 素早さ:176     
    
【相手のポケモン(控)】
ナットレイ 持ち物:なし 特性:てつのトゲ 性格:いじっぱり    
 技:パワーウィップ
 努力値 HP:252 攻撃:252 素早さ:4
 実数値 HP:181 攻撃:160 防御:151 特攻:66 特防:136 素早さ:41     
				
【ダメージ計算】
 自分のウルガモスのだいもんじ
  →相手のナットレイに372〜444のダメージ(確定1)
 自分のゴルーグのじしん
  →相手のテラキオンに200〜236のダメージ(確定1)
 自分のゴルーグのじしん
  →相手のナットレイに73〜87のダメージ(確定3)

 相手のテラキオンのストーンエッジ
  →自分のウルガモスに480〜568のダメージ(確定1)
 相手のテラキオンのストーンエッジ
  →自分のゴルーグに51〜60のダメージ(確定4)
 相手のナットレイのパワーウィップ
  →自分のゴルーグに218〜258のダメージ(確定1)

・お互いに交代しない場合の試合の流れ
 Turn1
  相手「テラキオン」:ストーンエッジ
  自分「ウルガモス」は倒れた
  自分「ゴルーグ」に交代

 Turn2
  相手「テラキオン」:ストーンエッジ
  自分「ゴルーグ」:じしん
  相手「テラキオン」は倒れた
  相手「ナットレイ」に交代

 Turn3
  自分「ゴルーグ」:じしん
  相手「ナットレイ」:パワーウィップ
  自分「ゴルーグ」は倒れた

・自分だけが交代を駆使する場合の試合の流れ
 Turn1
  自分「ゴルーグ」に交代
  相手「テラキオン」:ストーンエッジ

 Turn2
  相手「テラキオン」:ストーンエッジ
  自分「ゴルーグ」:じしん
  相手「テラキオン」は倒れた
  相手「ナットレイ」に交代

 Turn3
  自分「ゴルーグ」:じしん
  相手「ナットレイ」:パワーウィップ
  自分「ゴルーグ」は倒れた
  自分「ウルガモス」に交代

 Turn4
  自分「ウルガモス」:だいもんじ
  相手「ナットレイ」は倒れた

・上記の試合の流れについて説明
 「ウルガモス」が交代しなければ「テラキオン」に倒され、
 後続の「ゴルーグ」も「ナットレイ」に倒されてしまう為負けてしまう。
 だがここで「ウルガモス」が「ゴルーグ」に交代すると、
 「ゴルーグ」で「テラキオン」を倒し、
 「ウルガモス」と「ゴルーグ」で「ナットレイ」を倒すことができ、
 勝つことができる。



2.2.2 役割の概念

「自分が選出したポケモンが全滅するよりも先に、相手が選出したポケモンを全滅させる」という勝利条件を満たすためには、相手が選出した各々のポケモンへの対策を施すことで、相手のポケモンに自分が選出した全てのポケモンを倒されるのを防ぐ必要があります。
相手が選出した各々のポケモンへの対策は、「相手のポケモンを対策するために、相手のポケモンを倒す」という役目(役割)を持ったポケモンによって行います。
役割は、対策の対象となる相手のポケモンに倒される前に相手のポケモンを倒すことによって遂行されます。

役割を遂行する上では、相手のポケモンを倒すための攻撃技が必要になります。
そのため、対策したい相手のポケモンにダメージを与えられる攻撃技を所持していることが、ポケモンに役割を与える上では最低条件となります。
また、役割を遂行する上では、相手のポケモンと1対1でバトルしたり、相手のポケモンが交代で出てくる度に役割を持ったポケモンを交代で出す必要があります。
そのため、対策したいポケモンとの1対1のバトルで強いポケモンや、高ステータス所持や回復技所持等の理由によって何度も交代で出せるポケモンに役割を持たせた方が望ましいです。


2.2.3 交代の必要性

場に出ているポケモン同士で1対1でバトルした場合に負けてしまう側は、そのまま相手のポケモンに倒されるか、控えのポケモンに交代するかの選択に迫られます。

ここで、場に出ている自分のポケモンに相手の控えのポケモンに対する役割を持たせる必要がない場合、そのまま相手のポケモンに倒されても支障はありません。

〜実例18〜

【自分のポケモン(場)】
リザードン 持ち物:なし 特性:もうか 性格:ひかえめ    
 技:だいもんじ
 努力値 HP:4 特攻:252 素早さ:252
 実数値 HP:154 攻撃:93 防御:98 特攻:177 特防:105 素早さ:152     
    
【自分のポケモン(控)】
カビゴン 持ち物:なし 特性:あついしぼう 性格:いじっぱり    
 技:おんがえし
 努力値 攻撃:252 防御:252 素早さ:4
 実数値 HP:235 攻撃:178 防御:117 特攻:76 特防:130 素早さ:51     
    
【相手のポケモン(場)】
ラティオス 持ち物:なし 特性:ふゆう 性格:おくびょう    
 技:りゅうのはどう
 努力値 HP:4 特攻:252 素早さ:252
 実数値 HP:156 攻撃:99 防御:100 特攻:182 特防:130 素早さ:178     
    
【相手のポケモン(控)】
ユキノオー 持ち物:なし 特性:ゆきふらし 性格:ひかえめ    
 技:ふぶき 
 努力値 HP:252 特攻:252 素早さ:4
 実数値 HP:197 攻撃:100 防御:95 特攻:158 特防:105 素早さ:81    
    
【ダメージ計算】
 自分のリザードンのだいもんじ
  →相手のラティオスに46〜54のダメージ(10.7%乱数3)
 自分のリザードンのだいもんじ
  →相手のユキノオーに460〜544のダメージ(確定1)
 自分のカビゴンのおんがえし
  →相手のラティオスに102〜121のダメージ(確定2)
 自分のカビゴンのおんがえし
  →相手のユキノオーに109〜129のダメージ(確定2)

 相手のラティオスのりゅうのはどう
  →自分のリザードンに88〜105のダメージ(確定2)
 相手のラティオスのりゅうのはどう
  →自分のカビゴンに72〜85のダメージ(50.4%乱数3)
 相手のユキノオーのふぶき
  →自分のリザードンに102〜121のダメージ(確定2)
 相手のユキノオーのふぶき
  →自分のカビゴン(あついしぼう)に42〜51のダメージ(乱数5)


・試合の流れ
 Turn1
  相手「ラティオス」:りゅうのはどう
  自分「リザードン」:だいもんじ

 Turn2
  相手「ラティオス」:りゅうのはどう
  自分「リザードン」は倒れた
  自分「カビゴン」に交代

 Turn3
  相手「ラティオス」:りゅうのはどう
  自分「カビゴン」:おんがえし
  相手「ラティオス」は倒れた
  相手「ユキノオー」に交代

 Turn4
  相手「ユキノオー」:ふぶき
  自分「カビゴン」:おんがえし

 Turn5
  相手「ユキノオー」:ふぶき
  自分「カビゴン」:おんがえし
  相手「ユキノオー」は倒れた

・上記の試合の流れについて説明
 「リザードン」が「だいもんじ」を当てた後であれば、
 後続の「カビゴン」で「ラティオス」と「ユキノオー」
 を倒すことができるようになる。
 (「リザードン」に役割を持たせる必要が無くなる)
 そのため、「リザードン」は交代しなくてもよい。


しかし、場に出ている自分のポケモンに相手の控えのポケモンに対する役割を持たせる必要がある場合は、場に出ている相手のポケモンに対して役割を持っているポケモンに交代し、場に出ている自分のポケモンが倒されるのを防ぐ必要があります。
場に出ている自分のポケモンが倒されてしまうと、相手の控えのポケモンの対策ができなくなってしまい、負けてしまうからです。

〜実例19〜

【自分のポケモン(場)】
サンダー 持ち物:なし 特性:プレッシャー 性格:おくびょう    
 技:10まんボルト
 努力値 HP:4 特攻:252 素早さ:252
 実数値 HP:166 攻撃:99 防御:105 特攻:177 特防:110 素早さ:167     
    
【自分のポケモン(控)】
カビゴン 持ち物:なし 特性:あついしぼう 性格:いじっぱり    
 技:おんがえし
 努力値 攻撃:252 防御:252 素早さ:4
 実数値 HP:235 攻撃:178 防御:117 特攻:76 特防:130 素早さ:51
     
【相手のポケモン(場)】
ラティオス 持ち物:なし 特性:ふゆう 性格:おくびょう    
 技:りゅうのはどう
 努力値 HP:4 特攻:252 素早さ:252
 実数値 HP:156 攻撃:99 防御:100 特攻:182 特防:130 素早さ:178     
    
【相手のポケモン(控)】
メタグロス 持ち物:なし 特性:クリアボディ 性格:いじっぱり    
 技:コメットパンチ
 努力値 HP:252 攻撃:252 素早さ:4
 実数値 HP:187 攻撃:205 防御:150 特攻:103 特防:110 素早さ:91     
    
【ダメージ計算】
 自分のサンダーの10まんボルト
  →相手のラティオスに36〜43のダメージ(乱数4)
 自分のサンダーの10まんボルト
  →相手のメタグロスに87〜103のダメージ(67.6%乱数2)
 自分のカビゴンのおんがえし
  →相手のラティオスに102〜121のダメージ(確定2)
 自分のカビゴンのおんがえし
  →相手のメタグロスに34〜41のダメージ(乱数5)

 相手のラティオスのりゅうのはどう
  →自分のサンダーに84〜100のダメージ(確定2)
 相手のラティオスのりゅうのはどう
  →自分のカビゴンに72〜85のダメージ(50.4%乱数3)
 相手のメタグロスのコメットパンチ
  →自分のカビゴンに100〜118のダメージ(1.2%乱数2)
 相手のメタグロスのコメットパンチ
  →自分のサンダーに54〜65のダメージ(99.76%乱数3)


・自分が交代しなかった場合の試合の流れ
 Turn1
  相手「ラティオス」:りゅうのはどう
  自分「サンダー」:10まんボルト

 Turn2
  相手「ラティオス」:りゅうのはどう
  自分「サンダー」は倒れた
  自分「カビゴン」に交代

 Turn3
  相手「ラティオス」:りゅうのはどう
  自分「カビゴン」:おんがえし

 Turn4
  相手「ラティオス」:りゅうのはどう
  自分「カビゴン」:おんがえし
  相手「ラティオス」は倒れた
  相手「メタグロス」に交代

 Turn5
  相手「メタグロス」:コメットパンチ
  自分「カビゴン」は倒れた

・上記の試合の流れについて説明
 「サンダー」を失った場合、相手の「メタグロス」を倒せなくなる。
 (「サンダー」には「メタグロス」に対する役割がある)
 その為、交代しなければならない。



2.2.4 サイクルの発生

相手がどのポケモンを場に出してきたとしても、場に出ている相手のポケモンに対して役割を持っているポケモンに交代できる状態なのであれば、交代を繰り返すことで自分のポケモンが倒されるのを防ぎやすくなります。
逆に、自分がどのポケモンを場に出したとしても、場に出ている自分のポケモンに対して役割を持っているポケモンに交代される状態なのであれば、相手に交代を繰り返されることで相手のポケモンを倒すことが難しくなります。

この場合、双方が交代を繰り返すことによって、双方のポケモンはなかなか倒されない状態になります。
この状態のことを「サイクル」と呼びます。


ここで、「2.2.3 交代の必要性」で挙げた例で見ていきましょう。

〜実例20〜
(実例19の続き)

実例19にて、各ポケモン間の関係は下記のようになっている。
 -自分「サンダー 」…相手「メタグロス」に対する役割を持っている
 -自分「カビゴン 」…相手「ラティオス」に対する役割を持っている
 -相手「ラティオス」…自分「サンダー 」に対する役割を持っている
 -相手「メタグロス」…自分「カビゴン 」に対する役割を持っている
そのため、
 「サンダー」が「カビゴン」に交代
→「ラティオス」が「メタグロス」に交代
→「カビゴン」が「サンダー」に交代
→「メタグロス」が「ラティオス」に交代
→……
というサイクルになる。



2.2.5 1対1のバトルでの強弱関係の変化

相手のポケモンが交代するターンでは、相手の交代先のポケモンに技を打たれることなく、相手の交代先のポケモンに対して一方的に技を打つことができます。
交代際に打つ技の存在を考慮すると、場に出ているポケモン同士の1対1のバトルがお互いにHP満タン・能力変化なしの状態からスタートするとは限らなくなる、と考えることができます。


例えば、片方(若しくは双方)のポケモンがあらかじめダメージ・状態異常を受けていたり、片方のポケモンがあらかじめ補助技を使用している状態から1対1のバトルがスタートする可能性があります。

このような背景があるため、「1対1のモデル」で考えると常に負けてしまうポケモンが、交代際に打つ技の存在を考慮する「多対多のモデル」では逆に勝ってしまう現象が起こり得ます。

〜実例21〜

【自分のポケモン】
ライコウ 持ち物:なし 特性:プレッシャー 性格:おくびょう    
 技:10まんボルト
 努力値 HP:4 特攻:252 素早さ:252
 実数値 HP:166 攻撃:94 防御:95 特攻:167 特防:120 素早さ:183     
    
【相手のポケモン】
カビゴン 持ち物:なし 特性:あついしぼう 性格:いじっぱり    
 技:おんがえし
 努力値 攻撃:252 防御:252 素早さ:4
 実数値 HP:235 攻撃:178 防御:117 特攻:76 特防:130 素早さ:51     
    
【ダメージ計算】
 自分のライコウの10まんボルト
  →相手のカビゴンに69〜82のダメージ(11.1%乱数3)

 相手のカビゴンのおんがえし
  →自分のライコウに109〜129のダメージ(確定2)

・「1対1のモデル」で考える場合の試合の流れ
 Turn1
  自分「ライコウ」:10まんボルト
  相手「カビゴン」:おんがえし

 Turn2
  自分「ライコウ」:10まんボルト
  相手「カビゴン」:おんがえし
  自分「ライコウ」は倒れた

・交代際の攻撃を考慮する場合の試合の流れ
 Turn0(相手「カビゴン」が交代で出てくるターン)
  相手「カビゴン」に交代
  自分「ライコウ」:10まんボルト

 Turn1
  自分「ライコウ」:10まんボルト
  相手「カビゴン」:おんがえし

 Turn2
  自分「ライコウ」:10まんボルト
  相手「カビゴン」:おんがえし
  自分「ライコウ」は倒れた

・「ライコウ」が「10まんボルト」を当て逃げしていた場合の試合の流れ
 前提条件
  過去のターンに、自分「ライコウ」は交代で出てくる相手「カビゴン」に
  「10まんボルト」を当て、
  その次のターンに自分は 「ライコウ」を交代させている。

 Turn0(相手「カビゴン」が交代で出てくるターン)
  相手「カビゴン」に交代
  自分「ライコウ」:10まんボルト

 Turn1
  自分「ライコウ」:10まんボルト
  相手「カビゴン」:おんがえし

 Turn2
  自分「ライコウ」:10まんボルト
  相手「カビゴン」は倒れた

・上記の試合の流れについて説明
 「1対1のモデル」で考える場合、
 「ライコウ」は「カビゴン」に勝つことはできず、
 「カビゴン」は最大HPの35%のHPを残した状態となる。
 「ライコウ」が相手の交代際に攻撃技を打った場合も、
 「ライコウ」は「カビゴン」に勝つことはできないが、
 「カビゴン」のHPのほとんどを削り取ることができる(注)。
 「ライコウ」があらかじめ攻撃技を1回当て逃げし、
 更に相手の交代際に攻撃技を打った場合は、
 「ライコウ」で「カビゴン」に勝つことができる。

   注:運が良ければ勝つこともある。
     運によって1対1の勝敗が変わることに関しては、
    「2.5.1 運要素がバトルに与える影響」で後述する。
〜実例22〜

【自分のポケモン】
ガブリアス 持ち物:なし 特性:すながくれ 性格:ようき    
 技:つるぎのまい・げきりん
 努力値 HP:4 攻撃:252 素早さ:252
 実数値 HP:184 攻撃:182 防御:115 特攻:90 特防:105 素早さ:169
    
【相手のポケモン】
スイクン 持ち物:カゴのみ 特性:プレッシャー 性格:ずぶとい    
 技:れいとうビーム・ねむる
 努力値 HP:252 防御:252 素早さ:4
 実数値 HP:207 攻撃:85 防御:183 特攻:110 特防:135 素早さ:106    
					
【ダメージ計算】
 自分のガブリアスのげきりん
  →相手のスイクンに67〜81のダメージ(99.02%乱数3)
 自分のガブリアスのげきりん(攻撃ランク+2)
  →相手のスイクンに135〜160のダメージ(確定2)

 相手のスイクンのれいとうビーム
  →自分のガブリアスに152〜180のダメージ(確定2)


・「1対1のモデル」で考える場合の試合の流れ
 Turn1
  自分「ガブリアス」:げきりん
  相手「スイクン」:れいとうビーム

 Turn2
  自分「ガブリアス」:げきりん
  相手「スイクン」:れいとうビーム
  自分「ガブリアス」は倒れた

・自分「ガブリアス」が、交代際に「げきりん」を使用した場合の試合の流れ
 Turn0(相手「スイクン」が交代で出てくるターン)
  相手「スイクン」に交代
  自分「ガブリアス」:げきりん

 Turn1
  自分「ガブリアス」:げきりん
  相手「スイクン」:ねむる
  相手「スイクン」は「カゴのみ」で目を覚ました

 Turn2
  自分「ガブリアス」:げきりん
  自分「ガブリアス」は混乱した
  相手「スイクン」:れいとうビーム

 Turn3
  自分「ガブリアス」:げきりん
  相手「スイクン」:れいとうビーム
  自分「ガブリアス」は倒れた

・自分「ガブリアス」が、交代際に「つるぎのまい」を使用した場合の試合の流れ
 Turn0(相手「スイクン」が交代で出てくるターン)
  相手「スイクン」に交代
  自分「ガブリアス」:つるぎのまい

 Turn1
  自分「ガブリアス」:げきりん
  相手「スイクン」:ねむる
  相手「スイクン」は「カゴのみ」で目を覚ました

 Turn2
  自分「ガブリアス」:げきりん
  相手「スイクン」:れいとうビーム

 Turn3
  自分「ガブリアス」:げきりん
  相手「スイクン」は倒れた

・上記の試合の流れについて説明
 相手の交代際に技を行うことにより、
 「ガブリアス」で「スイクン」に勝つことができるようになっている。
 なお、このケースでは、
 相手の交代際に攻撃技を使用するよりも補助技を使用した方が有効である。



2.2.6 サイクルの崩壊

サイクルは、いつまでも続くわけではありません。
遂行可能な役割を持っていたポケモンがその役割を遂行できなくなり、あるポケモンが対策不可能な状態になった瞬間に、サイクルは崩壊します。


そして、元々遂行可能であった役割を遂行不可能にする原因は、「1対1のバトルでの強弱関係の変化」にあります。

相手が、自分の場に出ているポケモンに対して役割を持っているポケモンに交代させたとします。
また、その交代際に、自分のポケモンは交代先のポケモンに対して何らかの技を打ったとします。
そして、次のターンから、場に出ているポケモン同士の1対1のバトルが発生するとします。
ここで交代先の相手のポケモンに勝つことができるようになった場合、相手のポケモンが持っていた役割は遂行不可能な状態になり、場に出している自分のポケモンは対策されなくなるため、勝利に大きく近づくことができます。
逆に交代先の相手のポケモンに勝つことができない場合、交代先のポケモンに対して何らかの技を打った次のターンに交代する(当て逃げする)ことになります。
当て逃げは、交代先の相手のポケモンに勝つことができるようになるまで繰り返す必要があります。
 ※なお、当て逃げする際は、交代しても効果が残る技を打つ必要があります。

ここで、「2.2.3 交代の必要性」で挙げた例で見ていきましょう。

〜実例23〜
(実例19、実例20の続き)

・お互いに交代する場合の試合の流れ
 Turn1
  自分「カビゴン」に交代
  相手「ラティオス」:りゅうのはどう

 Turn2
  相手「メタグロス」に交代
  自分「カビゴン」:おんがえし

 Turn3
  自分「サンダー」に交代
  相手「メタグロス」:コメットパンチ

 Turn4
  相手「ラティオス」に交代
  自分「サンダー」:10まんボルト

 Turn5
  自分「カビゴン」に交代
  相手「ラティオス」:りゅうのはどう

 Turn6
  相手「メタグロス」に交代
  自分「カビゴン」:おんがえし

 Turn7
  自分「サンダー」に交代
  相手「メタグロス」:コメットパンチ
   ※
   この時点で、相手「メタグロス」は自分「サンダー」の
   「10まんボルト」に1発耐え、
   自分「サンダー」を「コメットパンチ」1発で倒せる状態となる。

 Turn8
  自分「サンダー」:10まんボルト
  相手「メタグロス」:コメットパンチ
  自分「サンダー」は倒れた
  自分「カビゴン」に交代

 Turn9
  相手「メタグロス」:コメットパンチ
  自分「カビゴン」は倒れた

・上記の試合の流れについて説明
 以上のように、サイクルを続けることで当て逃げのダメージが蓄積し、
 1対1のバトルでの強弱関係の変化が発生する。
 そして、サイクルが崩壊する。


攻撃技で大きなダメージを与えられるポケモンが交代際に技を打つと、大きな効果を得ることができます。
逆に、相手のポケモンに対して役割を持っている自分のポケモンが、攻撃技で大きなダメージを受けないポケモンであったり、ダメージを回復することができるポケモンであったりする場合は、交代際に打たれる技による被害を軽減することができます。
(相手が補助技を打ってくる場合は、相手の補助技に対抗する手段を持っていれば、交代際に打たれる技による被害を軽減することができます)

双方のポケモンの「すばやさ」や、交代際に技を打つポケモンの「残りHP」「ぼうぎょ」「とくぼう」、交代際の技を受けるポケモンの「こうげき」「とくこう」「攻撃技の威力」といった要素は、交代際の技の有効性には影響しません。
 ※ただし、「すばやさ」等の要素は、交代後のターンから始まる
  場に出ているポケモン同士の1対1のバトルに大きな影響を及ぼすので、
  サイクルの崩壊を考える上では決して軽視してはならない要素です。

〜実例24〜

【自分のポケモン(ケース1)】
ヘラクロス 持ち物:なし 特性:こんじょう 性格:いじっぱり    
 技:メガホーン
 努力値 HP:4 攻撃:252 素早さ:252 
 実数値 HP:156 攻撃:194 防御:95 特攻:54 特防:115 素早さ:137     
     
【自分のポケモン(ケース2)】
テッカニン 持ち物:なし 特性:かそく 性格:ようき    
 技:シザークロス
 努力値 HP:4 攻撃:252 素早さ:252
 実数値 HP:137 攻撃:142 防御:65 特攻:63 特防:70 素早さ:233     
    
【相手のポケモン】
ガブリアス 持ち物:なし 特性:すながくれ 性格:ようき    
 技:ドラゴンクロー
 努力値 HP:140 攻撃:108 防御:4 特防:4 素早さ:252
 実数値 HP:201 攻撃:164 防御:116 特攻:90 特防:106 素早さ:169
 ※所謂「201ガブリアス」     
				
【ダメージ計算】
 自分のヘラクロスのメガホーン
  →相手のガブリアスに114〜135のダメージ(確定2)
 自分のテッカニンのシザークロス
  →相手のガブリアスに57〜67のダメージ(0.02%乱数3)

 相手のガブリアスのドラゴンクロー
  →自分のヘラクロスに78〜93のダメージ(確定2)
 相手のガブリアスのドラゴンクロー
  →自分のテッカニンに114〜135のダメージ(確定2)


・「1対1のモデル」における、「ヘラクロス」対「ガブリアス」の試合の流れ
 Turn1
  相手「ガブリアス」:ドラゴンクロー
  自分「ヘラクロス」:メガホーン

 Turn2
  相手「ガブリアス」:ドラゴンクロー
  自分「ヘラクロス」は倒れた
  (この時点で、相手「ガブリアス」の残りHPは最大HPの40%程度)

・「1対1のモデル」における、「テッカニン」対「ガブリアス」の試合の流れ
 Turn1
  自分「テッカニン」:シザークロス
  相手「ガブリアス」:ドラゴンクロー

 Turn2
  自分「テッカニン」:シザークロス
  相手「ガブリアス」:ドラゴンクロー
  自分「テッカニン」は倒れた
  (この時点で、相手「ガブリアス」の残りHPは最大HPの40%程度)

・自分が「ヘラクロス」を使い、相手の交代際に攻撃をする場合の試合の流れ
 Turn0(相手「ガブリアス」が交代で出てくるターン)
  相手「ガブリアス」に交代
  自分「ヘラクロス」:メガホーン

 Turn1
  相手「ガブリアス」:ドラゴンクロー
  自分「ヘラクロス」:メガホーン
  相手「ガブリアス」は倒れた

・自分が「テッカニン」を使い、相手の交代際に攻撃をする場合の試合の流れ
 Turn0(相手「ガブリアス」が交代で出てくるターン)
  相手「ガブリアス」に交代
  自分「テッカニン」:シザークロス

 Turn1
  自分「テッカニン」:シザークロス
  相手「ガブリアス」:ドラゴンクロー

 Turn2
  自分「テッカニン」:シザークロス
  相手「ガブリアス」:ドラゴンクロー
  自分「テッカニン」は倒れた
  (この時点で、相手「ガブリアス」の残りHPは最大HPの10%程度)
  ※
  1回「シザークロス」を当て逃げしていれば
  Turn2で相手「ガブリアス」を倒せる。

・上記の試合の流れについて説明 
 「ヘラクロス」が「こうげき」の高さを活かすポケモンであるのに対し、
 「テッカニン」は高い「すばやさ」で相手に先手を取って戦うポケモンである。
 「ヘラクロス」「テッカニン」共に、
 1対1のモデルであれば「ガブリアス」に
 60%程度のダメージを与えることができる。
 しかし、交代から出てくる「ガブリアス」を倒す場合、
 「ヘラクロス」は当て逃げ不要であるのに対して、
 「テッカニン」は1回の当て逃げが必要になる。


ちなみに、交代先の相手のポケモンが、場に出ている自分のポケモンを先手の攻撃技1発で倒すポケモンであった場合、当て逃げのみで相手の交代先のポケモンを倒す必要があります。

〜実例25〜

【自分のポケモン(場)】
シャンデラ 持ち物:なし 特性:もらいび 性格:ひかえめ    
 技:だいもんじ
 努力値 HP:4 特攻:252 素早さ:252
 実数値 HP:136 攻撃:67 防御:110 特攻:216 特防:110 素早さ:132     
    
【自分のポケモン(控)】
スイクン 持ち物:なし 特性:プレッシャー 性格:ずぶとい    
 技:れいとうビーム
 努力値 HP:252 防御:252 素早さ:4
 実数値 HP:207 攻撃:85 防御:183 特攻:110 特防:135 素早さ:106
     
【相手のポケモン(場)】
ガブリアス 持ち物:なし 特性:すながくれ 性格:ようき    
 技:じしん
 努力値 HP:4 攻撃:252 素早さ:252
 実数値 HP:184 攻撃:182 防御:115 特攻:90 特防:105 素早さ:169
     
【相手のポケモン(控)】
ナットレイ 持ち物:なし 特性:てつのトゲ 性格:いじっぱり    
 技:パワーウィップ
 努力値 HP:252 攻撃:252 素早さ:4
 実数値 HP:181 攻撃:160 防御:151 特攻:66 特防:136 素早さ:41     
    
【ダメージ計算】
 自分のシャンデラのだいもんじ
  →相手のガブリアスに69〜82のダメージ(確定3)
 自分のシャンデラのだいもんじ
  →相手のナットレイに432〜508のダメージ(確定1)
 自分のスイクンのれいとうビーム
  →相手のガブリアスに152〜180のダメージ(確定2)
 自分のスイクンのれいとうビーム
  →相手のナットレイに29〜35のダメージ(乱数6)

 相手のガブリアスのじしん
  →自分のシャンデラに186〜222のダメージ(確定1)
 相手のガブリアスのじしん
  →自分のスイクンに57〜67のダメージ(確定4)
 相手のナットレイのパワーウィップ
  →自分のスイクンに120〜144のダメージ(確定2)
 相手のナットレイのパワーウィップ
  →自分のシャンデラに49〜58のダメージ(確定3)


・試合の流れ
 Turn1
  自分「スイクン」に交代
  相手「ガブリアス」:じしん

 Turn2
  相手「ナットレイ」に交代
  自分「スイクン」:れいとうビーム

 Turn3
  自分「シャンデラ」に交代
  相手「ナットレイ」:パワーウィップ

 Turn4
  相手「ガブリアス」に交代
  自分「シャンデラ」:だいもんじ

 Turn5
  自分「スイクン」に交代
  相手「ガブリアス」:じしん

 Turn6
  相手「ナットレイ」に交代
  自分「スイクン」:れいとうビーム

 Turn7
  自分「シャンデラ」に交代
  相手「ナットレイ」:パワーウィップ

 Turn8
  相手「ガブリアス」に交代
  自分「シャンデラ」:だいもんじ

 Turn9
  自分「スイクン」に交代
  相手「ガブリアス」:じしん

 Turn10
  相手「ナットレイ」に交代
  自分「スイクン」:れいとうビーム

 Turn11
  自分「シャンデラ」に交代
  相手「ナットレイ」:パワーウィップ
  自分「シャンデラ」は倒れた
  自分「スイクン」に交代

 Turn12
  自分「スイクン」:れいとうビーム
  相手「ナットレイ」:パワーウィップ
  自分「スイクン」は倒れた

・上記の試合の流れについて説明
 「ナットレイ」でサイクル崩壊を狙う場合、
 「ナットレイ」を先手の攻撃1発で倒しにくる「シャンデラ」
 を当て逃げだけで倒す必要がある。
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Last-modified: 2011-06-07 (火) 00:01:49 (4720d)