ダブルバトル理論化計画-構想 2011/05/22 はまっちゃった人 記 ↓ 2018/03/21 バックアップから発掘したのでまさかの公開。改行追加と誤字脱字の訂正以外は当時の文章そのままです。 1.基本方針  俯瞰的に見た場合、シングルバトルとダブルバトルでは、多くの共通点が存在する。  具体的には、下記のような共通点が存在する。   ・1人のプレイヤー対1人のプレイヤーが戦い、相手のプレイヤーに勝つことを目的とするゲームである。   ・双方のプレイヤーの意思決定のタイミングが一致しており、    相手が選んだ選択肢を確認してから自分の選択肢を選ぶことができない。   ・勝利条件が「自分が選出したポケモンが全滅するよりも先に、相手が選出したポケモンを全滅させる」である。   ・ステータスを決める三値(種族値・個体値・努力値)、タイプ、技や持ち物の効果等、各種システム面の共通点が多い。   ・交代の仕組みが同じである(必ず先手で行動できる。また、控えに戻るポケモンや場に出るポケモンは、    交代を行うターンに技を打つことができない)。     上記の共通点が存在するため、シングルバトルの理論はダブルバトルに全て流用できると考えられる。  勝率の概念や読みの概念や構築手法といった汎用的な理論が流用できるのはもちろんのこと、  勝利条件や各種システム面や交代の仕組みも似通っているため、サイクルの概念やサポートの概念も流用できると考えられる。  ただし、「サイクルの概念が流用できる」という記述に違和感を感じる方は多いと思われる。違和感を感じる理由については、  「4.ダブルバトルにおける交代の意義」で触れる。    シングルバトルの理論をダブルバトルに流用するに当たっては、一工夫する必要がある。  このことについては、「2.ユニットの概念」で解説する。  また、ダブルバトル特有の事象があることにも留意する必要がある。  このことについては、「3.ダブルバトル特有の事象」で述べる。       2.ユニットの概念  ここでは、「ユニット」という単位を用いて論を進めていくことにする。  「ユニット」とは、「場に出すことができるポケモンの組み合わせ」を表す単位である。  シングルバトルにおけるユニットは1匹のポケモンであり、  ダブルバトルにおけるユニットは2匹のポケモンの組み合わせである。    ポケモンバトルをユニット単位で捉え、  ダブルバトルにおける2匹のポケモンの組み合わせをシングルバトルにおける1匹のポケモンと同様にして扱うことで、  シングルバトルの理論をダブルバトルに流用することが可能となる。  また、シングルバトルとダブルバトルで差異がある点は  「シングルバトルでは1匹のポケモンがユニットであり、ダブルバトルでは2匹のポケモンの組み合わせがユニットである」  という点に集約されるため、ダブルバトル特有の事象を読み取る鍵にもなる。       3.ダブルバトル特有の事象  3.1 ユニット内における各ポケモン間の相乗効果   構築時に工夫を凝らすことで、自分のポケモン同士に相乗効果が生まれる。   つまり、自分のあるポケモンが自分の別のポケモンに好影響を与えることができるようになる。      シングルバトルでは、ユニット間における相乗効果(=ポケモン対戦基礎理論で言う「サポート」)のみ発生した。   しかし、ダブルバトルでは、ユニットが2匹のポケモンで構成されるため、   ユニット内における各ポケモン間の相乗効果も発生する。   ユニットの強さは、ユニット内における各ポケモン間の相乗効果によって如何ようにも変わり得る。      ユニット内における各ポケモン間の相乗効果としては、下記の2つに大きく分類できる。   (1)自分のユニット内のポケモンのステータスを、技や特性を利用することにより直接的に強化する     天候操作や「いばる」の使用等によって実現する。      (2)相手のユニットの行動を技や特性を使用して制限することにより、自分のユニット内のポケモンが自由に行動できるようにする     相手のポケモンに対して、先手の攻撃技1発で倒す・先手で催眠技等の補助技を使用する・     「このゆびとまれ」「ひらいしん」等を使用するといった行動を行うことで、     自分のユニット内のポケモンが自由に行動できなくなる     (先手の攻撃技1発で倒される・先手で催眠技等の補助技を使用される)ことを防ぐ。     「縛り」の概念は、この類の相乗効果と密接な関係がある。     例:自分のユニットが「A・B」で構成され、相手のユニットが「a・b」で構成されているとする。       素早さは、BaAbの順番とする。       ここで、aがAを攻撃技で一撃で倒す場合、Aはaの攻撃技により行動することができなくなる。       しかし、ここでBがaを攻撃技で一撃で倒せる場合、Bでaを倒すことにより、Aは行動できるようになる。        3.2 各ユニット間におけるポケモンの使いまわし   ダブルバトルの場合、ユニットは「2匹のポケモンの組み合わせ」である。   同じポケモンが使われていたとしても、組み合わせが異なれば別々のユニットとしてみなすことになる。   例えば、「A・B」というユニットと「A・C」というユニットは、   「A」のポケモンが使われているという共通点があるものの、別々のユニットである。      このことは、ダブルバトルでは、   あるユニットに対する影響が別のユニットにも影響を及ぼす可能性がある、ということを示唆する。   例えば、相手が「a・b」のユニットを場に出していて、相手の「a・c」のユニットが強力で対策困難な場合、   相手の「a」のポケモンに対して攻撃技や補助技を使用することで、   場に出ている「a・b」のユニットだけでなく「a・c」のユニットをも予め弱体化させる、ということが可能である。   もう少し例を具体的にすると、「a」が技を使用することにより相手のユニット内のポケモンが強化される場合、   「a」を倒したり眠らせたりすることで、「a」によって相手のユニット内のポケモンが強化されることはなくなる。   そのため、「a・b」のユニットが場に出ている時に「b」のポケモンが強化されることは無くなり、   将来的に「a・c」のユニットが場に出たとしても「c」のポケモンが強化されることはなくなる。      ユニット間でポケモンを使いまわすことがないシングルバトルでは、このような事象は発生しない。        3.3 標的選択による読みの発生   ダブルバトルでは、場に出ている相手のユニットを倒す場合、   場に出ている相手の2匹のポケモンの内どちらを先に倒すのかを選ぶことができる。   この選択はお互いのプレイヤーが行うことができ、   この選択により(絶対優位の戦略(選べば必ず勝てる選択肢)が無かったとしても)勝敗が変わってくることがある。   つまり、標的を選択できることにより読みが発生することがある。      守るを用いた例がわかりやすいが、守るが無かったとしても、   「標的を選択できること」自体によって読みが発生することがある。   例えば、自分のユニット「A・B」と相手のユニット「a・b」があるとする。   ここで、強弱関係は以下の通りであるとする。    ・aはAに1対1で勝てる    ・Bはaに1対1で勝てる    ・bはBに1対1で勝てる    ・Aはbに1対1で勝てる   また、選択肢は以下のものがあるとする。    ・次のターンでaを倒す    ・次のターンでbを倒す    ・次のターンでAを倒す    ・次のターンでBを倒す   この場合、下記のような利得表を描くことができる。      自分\相手   次のターンでAを倒す   次のターンでBを倒す   次のターンでaを倒す   相手の勝ち        自分の勝ち   次のターンでbを倒す   自分の勝ち        相手の勝ち      この事象は、具体例も確認されている。   http://gray.ap.teacup.com/maximster/453.html   http://sanamani.blog60.fc2.com/blog-entry-1519.html      標的を選択できないシングルバトルでは、このような事象は発生しない。          4.ダブルバトルにおける交代の意義  ダブルバトルにおいては、シングルバトルと比べて交代の意義が薄くなると思われる。  その理由は下記の2つである。  (1)自分の場に出ているユニットと相手の場に出ているユニットの強弱関係が曖昧になる    シングルバトルでは、    自分の場に出ているユニットと相手の場に出ているユニットの強弱関係がはっきりしていることが多いため、    ポケモンを倒されることを防ぐために、不利な側が交代を積極的に行う。    しかし、ダブルバトルでは、「3.3 標的選択による読みの発生」で挙げた事象により、    ユニットの強弱関係は曖昧になることが多い。    そのため、ポケモンを倒されることを防ぐために、    「交代せずに、標的選択による読みに勝つ」という方法も採られることになる。     (2)交代際に大きな被害を受けることが多い    ダブルバトルの場合、交代先のポケモンに対して相手の2匹のポケモンから技を打たれることがある。    そのため、シングルバトルの場合と比べて、交代した場合に大きな被害を受ける(→不利になる)ことが多い。     ※ただし、シングルバトルの場合でも、      1回技を打たれただけで大きな被害を受けることが多い環境では、交代することで不利になることが多い。      (金銀のリトルカップ等)    逆に、ダブルバトルの場合でも、大きな被害を与えることができない技しかない環境があるとしたら、    比較的交代を行いやすくなることが考えられる。    そのため、(2)に関しては、シングルバトルに対するダブルバトルの決定的な差異である、とは言い難い面がある。        「1.基本方針」で「『サイクルの概念が流用できる』という記述に違和感を感じる方は多いと思われる」と述べたが、  その理由は「交代の意義が薄くなる」ことにある。  サイクルは交代によって回るため、交代することが難しいルールの場合は、  (「サイクル」という概念が適用できるとしても)実際にサイクルを回すことは難しい。    なお、ダブルバトルにおいても、場に出ているお互いのユニットの強弱関係が明確であり、  かつ交代際に大きな被害を受けない場面では、交代が有効であると思われる。  例えば、以下のような場合である。  (ダブルバトルの実戦経験が皆無の私が考えた例なので、下記の例が現実的にありえるかどうかはわかりません。)   ・自分の場にAとBが居て、控えにファイヤーが居るとする。   ・相手の場にメタグロスとbが居るとする。   ・素早さの関係は、ファイヤー→b→メタグロス→A→Bとする。   ・bはメタグロスに「いばる」を使用し、メタグロスは「キーのみ」を所持しているとする。   ・「いばる」使用後のメタグロス「じしん」で、AとBは一発で倒されるとする。   ・Aは「まもる」を使用できるとする。   ・ファイヤーの攻撃技でメタグロスを一発で倒せるとする。     この場合、交代せずに戦った場合、AとBは「いばる」使用後のメタグロス「じしん」で何もできずに倒されてしまう。  場に出ているお互いのユニットの強弱関係で言うと、間違いなく自分が不利である。  しかし、自分のAが「まもる」を使用し、Bをファイヤーに交代させた場合、  ノーダメージで「A・ファイヤー」VS「メタグロス・b」という状況に持っていける。  (交代際に大きな被害を受けずに済む)  この状況に持っていければ、相手のメタグロスをファイヤーの先手攻撃技で倒せるため、自分側が有利になる。